ナノ粒子担持触媒
Pd, Ptなどの貴金属ナノ粒子を酸化グラフェン上に固定化している。世界で初めて単層の酸化グラフェン上にPdナノ粒子を形成し、超高活性な触媒を創出した。
酸化・還元触媒
活性炭が酸素分子存在下で酸化触媒として作用することは古くから知られている。カーボンのエッジに存在するラジカルが酸素分子に移動することにより、スーパーオキシドアニオンラジカル(O2●-)が生じ、これが基質分子から水素を引き抜くというメカニズムが推定されている。つまり、エッジが多いほどラジカル量が多くなり、活性が高い触媒になると考えられる。これを確かめるために、様々なカーボンを触媒に用い、インドリンの酸化反応をモデル反応としてin situ電子スピン共鳴(ESR)スペクトルを測定した。その結果、rGOを用いた場合にO2●-が多く発生し、インドリンを酸化することが分かった。
ちなみに、この反応は最終的には酸化反応であるが、rGOから酸素に電子が移動する過程は“還元”である。そこで、基質を適切に選定すれば、還元反応の触媒になるのではないかと考えた。芳香族ジアゾニウム塩は、電気化学的に還元することにより、芳香族ラジカルを発生する。我々は、ジアゾニウム塩の還元をrGOにより促進し、ラジカルを発生させることを検討した。その結果、高反応性の芳香族ラジカルを発生させ、カップリング反応を進行させることができた。
固体酸触媒
酸触媒としての性能を高めるために、GOのヒドロキシ基に塩化スルホン酸を反応させ、スルホン酸エステル(C-O-SO3H)を増やす方法が開発されている。しかし、スルホン酸エステルは加水分解して硫酸が脱離しやすいため、耐久性が求められる触媒としては適していない。一方、スルホ基(C-SO3H)は安定性が高く、固体酸としても用いられている。GOには酸素官能基が多く、スルホン酸エステルを形成してしまいがちなため、還元体であるrGOに対して発煙硫酸を用いてスルホン化することが好ましい。これにより合成したrGO-SO3Hは、アルコールのエステル化反応において優れた活性を示した。